Cultural Typhoon 2021 開催概要のご案内
post on : 2020.12.31
カルチュラル・スタディーズ学会員各位
「カルチュラル・タイフーン2021」の開催概要が以下のように決定しましたのでお知らせいたします。
【大会テーマ】
The ‘Back’ Strikes Back-「裏」の逆襲-
【開催趣旨】
カルチュラル・タイフーン2021は金沢で開催されることになりました。多くの皆さんがご存知のように、日本海側初のカルタイです。なぜこれまでカルタイは太平洋側でしか開催されなかったのでしょうか?その理由は単純です。台風とは太平洋側の自然現象に過ぎないからです。しかし、そのことはあまり意識されてきませんでした。日本海側のことは頭になく、太平洋だけを見て、「台風は全国どこへでも行くだろう」となんとなく考えてきたのではないでしょうか?つまり、カルチュラル・タイフーンとは、無意識のうちに「太平洋中心主義」(パシフィックセントリズム)的な性格を持ってきたのです(もし、その名前が「カルチュラル・鰤起こし」だったら、太平洋側の皆さんも違和感を覚えるでしょう)。
このことを単なる言葉遊びとして看過することはできません。近代日本では、「裏日本」(としての日本海側)と「表日本」(としての太平洋側)という対概念を創りだし、「表日本=太平洋」中心の国家をつくるべく、太平洋側に「人・金・もの」を集中させてきました。その過程で日本海を中心としたアジアとの交流は廃れ、日本海側は戦争と植民の玄関となったのです。今回のカルタイは、台風になじみの薄い金沢にあえてカルタイを上陸させることで、こうした「太平洋中心主義=表中心主義」に対する「裏」からの逆襲を図ろうというものです。
藤子・F・不二雄(富山県出身)の短編マンガ『裏町裏通り名画館』をご存知でしょうか。裏日本のとある裏通りにある「裏町名画館」に入った主人公が『南極物語』と『スターウォーズ』の2本立てを見るつもりが、実はそれは『北極物語』と『ヌターウォーズ』だったというストーリーです。『北極物語』のテーマは、なぜ2匹の犬は1年間生き延びることができたのか、というものです。すなわち、残された2匹が生き延びるために「犠牲となったものたち」にスポットライトがあてられています。『ヌターウォーズ』には、ジェダイの騎士の活躍もスカイウォーカー親子の愛憎劇もありません。帝国の逆襲もなければジェダイの帰還もありません。皇帝に徴兵された市井の人間(木こりのヨサーク)が、帝国の不滅を信じて宇宙に散るだけの話です。我々が紡いでいくべきは、「感動的なスペクタクル」の「裏」にあるこのような物語ではないでしょうか。つまり、単に太平洋/日本海という話ではなく、「表」からのみ(表面のみで)語られてきた、あらゆる支配的な歴史・文化・政治への逆襲が必要なのです。
そう、みなさん、これは「逆襲」なのです。「そういう見方もあるかもしれないけど、こういう見方もあるよ。」というポストモダン的相対主義ではありません。これまで「表」からのみ語られた「表面的で支配的な物語」に対して、「そんなんじゃだめだ!」と中指を立てるような報告・セッションをお待ちしております。思えば、このような既存の制度化された(根っこが生えて身動きが取れなくなってしまった)知に対するラディカルな挑戦こそ、カルタイの基本姿勢だったはずです。The Empire Strikes Back (1982)を思い出してください。あれは、ポール・ギルロイら当時の院生たちが、「人種やブラックを扱わないようなナショナリスティック・カルチュラル・スタディーズなんてクソだ!」と異議を申し立てたプロジェクトでした。今回のThe ‘Back’ Strikes Backは、このような原点に回帰するようなテーマだと言えるかもしれません。その意味でも、「裏日本」金沢にカルチュラル・タイフーンを上陸させなければならないのです。新型コロナウィルスの感染状況は依然として見通せませんが、東京で運動会をするよりは格段に有益なイベントになるはずです。うまい魚と酒がみなさんを待っています。2021年6月、金沢でお会いしましょう!
カルチュラル・タイフーン2021実行委員会
代表:稲垣健志(金沢美術工芸大学)
【会場】
金沢21世紀美術館 シアター21
しいのき迎賓館 セミナールームA、B
【日程】
2021年6月26日(土)、27日(日)
【今後のスケジュール】
2021年2月10日(水) 発表公募受付締切
2021年3月15日(月) 公募結果発表
2021年4月05日(月) 非会員報告予定者の入金締切
お問合せ先:apply.cultural.typhoon@gmail.com
■CT2021 個人発表・グループ発表の募集について
【発表募集】
カルチュラル・タイフーン2021では、国内外のみなさまの発表を広く募集しております。「個人発表」「グループ発表」「プロジェクト・ワークス」の募集を行います。
*学会員のみならず非会員の方も応募できます。ただし、学会員でない方の発表につきましては、報告登録料が必要となります。下記の【発表資格について】をご確認ください。
*カルチュラル・タイフーン2021は、現地開催のみとなります。オンライン発表はありません。(その代わりに、オンラインでの若手研究会開催を予定しています。)
*新型コロナウィルス感染症対策のため、会場には人数制限があります。応募が多数あった場合には、選考となります。 また、報告はおひとりにつき1パネルのみの募集となります。
*選考にあたっては、新型コロナウィルス感染症の影響に鑑み、発表公募受付締切(2月10日(水))の時点で日本国内にいる方、および日本への入国制限のない国に在住の方を優先します。
*新型コロナウィルス感染症対策のため、三密を避けることが困難な形態の「プロジェクト・ワークス」は受け付けることができませんのでご了承ください。
【応募方法】
・ 個人発表/グループ発表に応募する場合は、以下の応募フォーム(個人発表用/グループ発表用)をダウンロードし、必要事項を記入の上、
apply.cultural.typhoon@gmail.comまで送付ください。
・ プロジェクト・ワークスに応募する場合は、以下の応募フォーム(プロジェクトワークス用)をダウンロードし、必要事項を記入の上、
booth.cultural.typhoon@gmail.comまで送付ください。
応募フォーム(個人発表)
★2021CFP-Individual-Presentation
応募フォーム(グループ発表)
応募フォーム(プロジェクト・ワークス)
【当日参加費】
個人会員AまたはAに該当する非会員 3,000円
個人会員BまたはBに該当する非会員 2,000円
個人会員C会員または非会員の学生・市民 1,000円
〇非会員かつ発表参加者:報告が受理されたのちに報告登録料をお支払いいただきます
非会員有職者(個人会員Aに該当するかた) 9,900円
非会員学生等(個人会員BまたはCに該当するかた) 4,900円
*個人報告かグループ報告かを問わず、非会員の報告者には全員、報告登録料を事前にお支払いいただきます
*報告登録料には当日参加費が含まれています
<参考>
・個人会員A(年会費10,000円)
大学あるいは研究機関等に常勤(任期付含む)で勤務し、かつ会費を所属組織の経費として申請できる者
・個人会員B(年会費6,000円)
大学あるいは研究機関等に非常勤で勤務している者、あるいは会費を所属組織の経費として申請できない者
・個人会員C(年会費4,000円)
会則第4条に定める学生、非正規雇用の形態で就労している労働者、および大学あるいは研究機関等を定年退職した者(あるいは70才以上の者)
【発表時間(予定ですので変更の可能性があります)】
個人発表:発表20分+質疑応答10分
グループ発表:90分(質疑応答時間含む)
【発表資格について】
会員でない方の発表については、報告登録料の支払いが事前に必要となります。報告登録料は有職者(常勤)9,900円、学生・非常勤等4,900円となります。報告登録料のなかに当日参加費が含まれています。報告登録料の支払いにつきましては、発表受諾の連絡を差し上げる際に支払い方法をお知らせします。また報告登録料を支払われた方で2021年度に新規会員となられる方につきましては、会費納入額の一部として報告登録料分を充当いたします。ご周辺のみなさまへの参加の積極的なお声がけを、なにとぞよろしくお願いいたします。
※研究発表以外の活動(プロジェクト・ワークス=ブースやワークショップ等)には、従来通りどなたでも参加申し込み可能ですが、申し込み者が招待する方を含め、当日参加費をお支払いいただく必要があります。
【会員申し込み】
入会申し込みについては下記をご覧ください。
入会案内:https://cultural-typhoon.com/join/
【発表に関するお問い合わせ】
個人発表およびグループ発表に関するお問い合わせは、apply.cultural.typhoon@gmail.comまでお願いいたします。
プロジェクト・ワークスに関するお問い合わせは、booth.cultural.typhoon@gmail.comまでお願いいたします。