カルチュラル・タイフーンとは
カルチュラル・タイフーン(文化台風)は、既存の学会やシンポジウムの形式や制度にとらわれず、さまざまな立場の人々がお互いにフラットな関係のもと発表や対話や表現活動をおこなうため、2003年より毎年、開催されてきました。その目的は、大学内外の研究者、社会活動や社会運動に関わる実践者、さまざまな領域で活躍しているアーティストたちが、専門分野の垣根を越え、文化と政治にかかわる課題にたいして自由な意見交換と創造的な表現活動を行う場を作り上げることにあります。
カルチュラル・タイフーンは、第1回大会の準備会議の折に、実際に台風が襲来した逸話にちなんで命名されました。「台風」は、予測を超えた猛威を振るうこともあるし、移動しながらさまざまなエネルギーを吸いあげ、吐きだし、予想しえない軌道を描いて去っていくものです。いずれにせよ、それはなにかしらの痕跡を残すでしょうし、新しい出会いを生みだすこともあるでしょう。まさにこの「台風」のイメージこそ、「カルチュラル・タイフーン」の活動がイメージしつづけてきたものです。
カルチュラル・タイフーンでは、過去17回の大会を通じて、既存のアカデミズムの制度に留まらない独特の空間を創出してきました。その特徴として、次の点を挙げることができます。
- さまざまな立場にある人々が個別のイシューを持ち寄り対話することを通じて、それぞれのシーンで直面している課題や問題に取り組むための新たな協働の可能性を開いてきた
- 研究者のみならず、ミュージシャンやDJ、アクティヴィストやパフォーマー、脚本家や編集者、建築家や作家、映画監督や映像作家などが数多く参加してきた
- 毎年、参加者が500~1000人と、非常に大きな規模である
- 海外(特にアジア圏)からの参加者や、国内に暮らす移民や留学生たちとの、対話・協働の場になっている
- 日本語での発表だけでなく、英語・朝鮮語・中国語などによるパネル発表が多く行われてきた
- 研究発表やシンポジウムと並行して、映画祭やワークショップ、ブース展示やパフォーマンス、自由ラジオや自由テレビ、カフェの運営やクラブでのパーティなどを行ってきた
- 大会ごとに個別のイシューをスローガンとして掲げ、文化と政治にまつわる固有の問題に取り組んできた
- 教員と、院生や学部生との間にある権威的階層関係の打破を目指し、若手研究者や院生・学部生が自由に意見を表明する空間を作り出してきた
- ネオリベラリズムに支配された大学が、もはや言論の自由や批判的文化活動をはぐくむ拠点として機能しなくなってきた2000年代に、大学と都市をつなぐための回路を作り出してきた