14th, July (Sun.) third part

たまスタディーズ:国立編

Time
14th, July (Sun.) 16:30 – 18:30
Room No.
301
Language
Japanese

Chair

Tanaka, Yasuhiro (International Christian University)

Panelists

Takahashi, Hiroko (Hitotsubashi University)
Takahara, Taichi (Tokyo University of Foreign Studies)
Social Studies Club of Toho Junior and Senior High School


 いま、東アジアでは軍事的緊張とそれを機とした統合の強化が叫ばれ、言説もそれを促進する方向へと大きく変貌しつつある。わけても昨年、複数の境界をめぐる緊張が東アジア各地に引き起こした情動の噴出は、メディアによって増幅され、歴史の断片的・恣意的な奪用をくり返して膨張し、政権交代から個人の日常生活の破壊まで、さまざまな断裂を生んだ。
これといかにむきあい、介入のための表現を想像/創造していくかは、文化を批判的に検討する者にとり、まさに喫緊の課題ではないだろうか。実際にも、従来顧みられなかった過去の表現から学びなおし、新たな意味を発見しようとする試みが、そこかしこで生まれている。
このパネルでは、そうした試みのうち、特に芸術表現における〈記憶-歴史〉のあり方について思考/実践してきた方々の報告を得て、私たちの表現と認識の未来を展望したい。
 まず鈴木勝雄氏には、自身が企画された「実験場1950s」(2012年)など意欲的な美術展を例として、見失われていた文化的実践を「美術」として「展示」することの今日的意義について、検討していただく。
 続く白凜氏には、「在日朝鮮人美術史」の構築という課題を引き受けることで見えてくる、「戦後美術」という閉じられた枠組みの問題性について、交錯する美術運動の軌跡を通じて明らかにしていただく。
 さらに若林千代氏からは、沖縄を拠点に東アジアの文化交流を進めてきた経験をもとに、尖閣諸島など島々をめぐって揺れるこの地域で、さまざまな境界をまたぐ自由な空間を構想するための方途をご紹介いただく。
3氏の取り組みは、単に文化史の欠落を補う作業ではなく、私たちが抱いている歴史の風景を書き換える試みである。と同時に、美術館をはじめとする各々の企画の舞台が、公共空間における衝突/折衝の最前線に位置する以上、今回はそうした試みそのものについても、「文化実践の現在」として積極的に捉え返していきたい。
 以上を受けて、佐藤泉氏からは、冷戦初期の文化・運動・歴史をめぐる研究状況をふまえて、また東琢磨氏からは、広島を拠点に文化の可能性を思考してきた経験をふまえて、それぞれコメントをいただく。
これらにより、昨年の開催地・広島から今回の多摩へと、いくつもの戦争が重ね書きされた2つの場所をリレーすることで、軍事化に抗う表現を模索し、異なる磁場を創ろうとする、今回のカルチュラル・タイフーンの視点が鮮明になるだろう。