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Cultural Typhoon 2012 Hiroshima Official Web Site

パネルPANEL

テーマ

軍都広島からチョッケツ東アジア

広島の歴史は、軍都の歴史である。大本営が置かれた日清戦争以来、広島は日本の軍事的拠点であり続けた。「平和文化都市」の仮面の裏側で、軍需産業は今も広島の経済を支えている。
軍都広島は戦争を媒介として朝鮮と直結している。宇品港が軍港として使われはじめた日清・日露戦争の戦場は朝鮮半島であった。アジア太平洋戦争では多くの朝鮮人が広島に強制連行され、被爆(死)した。
軍都広島は核を媒介としてアメリカと直結している。アメリカは軍都である広島に原爆を投下した。敗戦後、「唯一の被爆国」である日本は直ちに、アメリカに広島を核戦略のモルモットとして献上した。
軍都広島は、かつて日本の支配下にあった、そして今はアメリカの影の下にある東アジアの歴史を内包している。東アジアから軍都広島へ。死と生命を分有する私たちの詩と声明をもって、これまでの負の直結を反転し、人として死ぬことすらできなかった死者たちの魂を迎える。チョッケツをわれらに!

メインパネル1 軍都広島からチョッケツ東アジア
7月14日 (土)15:30-17:00      401
パネリスト1 柿木伸之 Nobuyuki Kakigi (広島市立大学 Hiroshima City University)

今回のセッションでは、広島において「軍都」の歴史が今も連続していることを踏まえつつ、生き残りたちの怨念のうちにも谺している死者たちの記憶に触れる生の深みから、想起の経験とともに、死者の名と死者が生きた出来事の名を呼び、歴史を、いや歴史そのものを捉え直す詩的な可能性を、ベンヤミンの歴史哲学を手がかりに構想してみたい。こうして歴史を問うことは、例えば「唯一の被爆国」などの物語によって簒奪され、歴史から抹殺されてきた記憶を今ここに呼び覚ます可能性を模索することであるとともに、「進歩」や「成長」の歴史の連続によって生命が根幹から脅かされている現在において、その歴史を中断させる回路を「東アジア」の時空間のうちに探ることでもあろう。

パネリスト2 行友太郎 Taro Yukitomo (シャリバリ地下大学 Charivari Underground University)

「チョッケツ」とは車やバイク等の配線を短絡させる技法のことである。この技法を私たちはどのように身につけたか?失業と労働と無職の毎日でこれを獲得したのだ。近代とともに軍都となった広島における労働しか知らない者たちが、軍都における労働という負のチョッケツの爆発させるエネルギーを、いかに東アジアの「無職と平和」の爆発力へと転化(点火)できるか。これは「チョッケツ東アジア」という博打である。

応答歌
富田克也(空族) 相澤虎之助(空族) 権鉉基 Kwon Hyon Gi

司会/ コメンテータ 崔真碩 Che Jinsoku (広島大学 Hiroshima University)

このパネルの理念(理想への執念)は、過去と現在の軍都広島をめぐりながら、歴史から消されたことになっている人たち(死者たち)の声を、私たちの詩と声明/死と生命をもってカルタイの場に届けることである。
上の3人の発表、詩と声明/死と生命に対して、映画『サウダーヂ』の富田克也氏と相澤虎之助氏(空族)、並びに権鉉基(クォン・ヒョンギ)氏の3人に応答歌を返してもらう。


科学技術の社会史

広島・長崎に原爆が投下された後、米国は、広島・長崎の場合空中高く爆発したため、残留放射線の影響はないとする公式見解を出し続けた。その結果、原爆炸裂後1分以降に発生する残留放射線によるヒバク、放射性物質を帯びた黒い雨・チリ・ほこりによるヒバク、体内に取り込むことによっておこる内部被曝の影響はないとする、核開発のために作られた「国際的・科学的知見」がつくられ、現在にいたっている。2011年3月11日の福島第一原発事故後も、原子力を国策としてきた国、電力会社、「専門家」は、このような事態を引き起こした責任をとるどころか、放射性物質を「無主物」とし、放射性廃棄物(ガレキ)の受け入れを全国に分散させるなど、人々を外部被曝・内部被曝にさらしつづけ、生活・文化を脅かし続けている。こうした状況に対して「科学・技術の社会史」では、どのようにカルテュラル・タイフーンを起こしてヒバクに抗うことができるか議論したい。「市民と科学者の内部被曝問題研究会」から内部被曝問題の専門家がパネリストとして参加。(グローバルヒバクシャ研究会共催)

メインパネル2 科学技術の社会史
7月14日 (土)10:30-12:00        501
パネリスト1 松井英介 Eisuke Matsui, M.D. 岐阜環境医学研究所

パネリスト2 中尾麻伊香 Maika Nakao (慶応義塾大学 KEIO University)

司会/コメンテータ 高橋博子 Hiroko Takahashi (広島市立大学広島平和研究所 Hiroshima City University Hiroshima Peace Institute)


「女性化」の現在的意味を問う―広島と沖縄の回路を拓くために

広島と沖縄は、原爆と沖縄戦という第二次世界大戦末期の惨劇の地として知られる。しかしこの間、広島は「平和の聖地」、沖縄は「基地の島」と呼ばれ、一見、真逆な方向を生きた/生かされた地のようにも見える。
 昨年末の辺野古新基地建設への環境評価書提出時期を問われた田中前沖縄防衛局長の「犯す前に犯しますよと言いますか」発言に見られるように、沖縄はレイプされる対象として表象され、と同時に「犯されるものは『女』であること」=女性化が現在進行形であることを再認識させるということが起きた。翻って、「平和の聖地」とされるここ広島は、「女性化された記憶」(米山リサ)=被害者性・無罪無辜性(原爆乙女、サダコ、嵐の中の母子像など)に満ち満ちている。
なぜ、沖縄は「レイプの対象」として女性化され、広島は「無辜なる存在」として女性化されるのか。両者の「女性化」に関連はあるのか。そもそもなぜ「女性化」なのか。なぜ「女性化」は連綿と再生産されるのか。そこにはどのような政治力学が働いているのか。そのことによって何が生みだされ、どのような関係が生みだされたのか。あるいはどのような関係が閉ざされたのか。改めてさまざまな角度から「女性化」の意味を問いたい。

メインパネル3 「女性化」の現在的意味を問う―広島と沖縄の回路を拓くために
7月15日 (日)15:30-17:00      502
パネリスト1 阿部小涼 Kosuzu ABE (琉球大学 University of the Ryukyus)

2011年11月沖縄防衛局長の「犯す」発言の暴露は、出来事そのもの以上に、それへの抗議のダイナミックな展開が、沖縄に多くのものをもたらしたように思う。なかでも、犠牲の対象として名指される「女性」を拒否した「怒れるおんなたち」の抗議は、抗議する者の抗議を通じた主体化の契機について、深く考えさせられる時間となった。確かにわたしたちは言葉によって傷つけられたのであり、それに対抗する別のなにかを探し求めたのだから。未亡の捨てられた石が、これ以上引き裂くことのできないところから、対抗する言語を生み出そうとしている、と、そのようなことを考えてみたいと思います。

パネリスト2 新城郁夫 Ikuo SHINJO (琉球大学 University of the Ryukyus)

ある国家に属している地域が、国家の憲法とは異なる憲法を掲げ、国家からの「独立」あるいは別の共和社会の「自立」を考えるとき、そこで、領土、人民、法といった制度は再審され対象化される。戦後沖縄の批評家・川満信一の『琉球共和社会憲法C私(試)案』(1982年)は、そうした試みのなかでも先駆的なものといえよう。しかし、この試案のなかに「夫婦はこの憲法の基本理念である慈悲の原理に照らして双方の関係を主体的に正すことを要する」という言葉が明記されるとき、完全自治社会であるべき「琉球共和社会」において、既存国家の基盤たる性(だけ)は再審されない。そしてまた、この川満の憲法試案を批判する萱野稔人『ナショナリズムは悪なのか』(2012年)は、さらに積極的に性を無視する。むしろ、異性愛体制を問わないという黙約において、沖縄と日本をめぐるナショナリズムに関するいっけん対立的な議論は、互いを補完し合っているのではないか。この補完的閉域から逃れ去る思考的実践として、東琢磨『ヒロシマ独立論』(2007年)を読むことができる。既存の独立論から独立あるいは離脱している東の議論を、たとえば、クィア・ネーションという亀裂を孕んだ言語(行為)とも関わらせながら、ジェンダー/セクシュアリティの視点から考察していきたい。

パネリスト 3 田崎真奈美 Manami TASAKI (琉球大学大学院生修士課程卒 University of the Ryukyus)

戦後の沖縄において、「ひめゆり学徒隊」や米兵による強姦事件の被害者らは、日米関係の狭間にある沖縄の犠牲の象徴として位置づけられてきた。この象徴化には「少女」という語句による「純潔性」の強調が伴っており、それは「少女」ではないと見なされた者たちの排除へと連なっていく。本報告では、まず沖縄での「少女」というカテゴリーの創出過程について報告する。さらに、これまでの性暴力被害者を分断する枠組みを捉え返すとともに、性暴力に対する抵抗運動においてジェンダー・イシューの概念を拡大する必要性と可能性について検討する。

司会/ コメンテータ 高雄きくえ Kikue TAKAO (ひろしま女性学研究所 Womens alternative space)

「生ましめんかな」(1945.11)で世界的に知られる反戦詩人・栗原貞子(1913-2005)の代表作の一つに、広島の加害性を告発した「ヒロシマというとき」(1972.5)がある。だが、永久保存のために接着剤で固められた原爆ドームを「夜の女」に譬えた「曝される」(1967.11)という詩は、衝撃的な詩でありながら、なぜか全く取り上げられることはなかった。広島の原爆体験は「原爆乙女」「サダコ」「嵐の中の母子像」など、「無辜なる被害者」として「女性化」されてきたなかで、「曝される」はどのような意味を持つのか。「曝される」につながる栗原の結婚制度、家父長制批判を込めた一連の詩群に注目しながら、「女性化された記憶」(米山リサ)が生み出したものを検証する。

タイムテーブル

7月14日(土)
 ROOM  401  402  501  502
10:30




12:00
Panel Session

戦争・記憶・表象

War, Memory, and Representation
Panel Session

女の「語り」
‘Narratives’ of Women
Main Panel

科学技術の社会史
Group Work

瀬戸内から世界へ
―「ローカリティ/ジェンダー/ことば」をめぐる地方文化の現在
Lunch Time        
13:30






15:00
Group Work

国家と軍隊:明治期日本における近代化、国民化の諸相
Panel Session

連続する植民地主義

Continuing Colonialism
Group Work

原発避難者たちによる広島 
Panel Session

カルチュラル・スタディーズ、戦後空間、「ヒロシマ」

Cultural Studies, Postwar, and Hiroshima
Tea
Break
       
15:30





17:00
 Main Panel

軍都広島からチョッケツ東アジア
Panel Session

音楽と/のアクティビズム

Music of/and Activism
Group Work

原子力事故後を考える-計測運動、フェミニズム、テクノロジー
Group Work

パイレーツ・ダイアローグ5_テクノ海賊、あるいは海賊のテクノロジーについて


7月15日(日)
 ROOM  301 401 402  501 502
10:30












12:00
Presentation

クリス・マルケルのOuvroirにみられる戦争の記憶

The memories of war in the space of “Ouvroir” of Chris Marker
Panel Session

アジアを越境するメディアカルチャー

Trans-Asian media culture
Panel Session

東アジアのメディアカルチャー

Media and Culture in East Asia
Panel Session

ポスト3.11における「当事者性」をめぐって 
Group Work

「差異」と「多様性」をことほぐクィア/フェミニズムを超えて
Lunch Time      
13:30








15:00
Group Work

空族と魯迅
Panel Session

思想のデザイン

Designs of Thought
Panel Session

「科学」の語り

Narratives on ‘Science’
Group Work

「復帰」と「復帰」の向こう側を凝視する―相対化する1960-70年代の思想、文学、アクティヴィズム
Group Work

「ミンゾク」「ミンズー」「エスニシティ」―「民族」をめぐる翻訳不可能性とその歴史的文脈の一考察
Tea Break      
15:30






17:00
Panel Session

ディアスポラ・アナーキー

Diaspora and Anarchism
Group Work

〈無-国家〉としての奄美 あたらめて復帰を問う
Group Work

福島原発事故と有機農業
Presentation

『絆』を疑う~支援の現場から
Main Panel

「女性化」の現在的意味を問う―広島と沖縄の回路を拓くために
 Break          
17:30

19:00
Farewell Party
( 於、アイリス・インターナショナル・ハウス )    

 

Cultural Typhoon 2012 Hiroshima Panel List

Panel Session

1.【戦争・記憶・表象】 War, Memory, and Representation
Panelist 1
塚田修一 Tsukada Shuichi (慶應義塾大学大学院 Keio University)
戦艦大和ノ表象―戦後・ナショナリズム・広島― The image of battle ship YAMATO: Post-War, Nationalism, and HIROSHIMA.

Panelist 2
趙真慧 Cho Jinhye (東京大学大学院 The University of Tokyo)
1980年代からの「歴史認識」論争の中での広島平和記念資料館の変化 Changes to Hiroshima Peace Memorial Museum over “historical recognition” disputes from the 1980’s

Chair
阿部潔 Kiyoshi Abe (関西学院大学 Kwansei Gakuin University)

2.【思想のデザイン】 Designs of Thought
Panelist 1
金裕星 Yusung Kim (中央大學校 韓国 Chung-Ang University)
中国の作った世界像のなかの中国:上海万博の中国館の自己認識と世界風景 "China in the Chinese World Picture: Recognition of the Self and the World in the Shanghai Expo China Pavilion"

Panelist 2
加島卓 Kashima Takashi (東海大学 University of Tokai)
日本の平和ポスターにおける「ハト」と「光」 The "pigeon" and the "light" in Japanese peace poster

Chair
吉見俊哉 Shunya Yoshimi (東京大学 The University of Tokyo)

3.【「科学」の語り】 Narratives on ‘Science’
Panelist 1
瀬尾華子 Seo Hanako (東京大学大学院 The University of Tokyo)
原発PR映画のアーカイブ分析 The Archive Analysis of The Nuclear Power PR Films

Panelist 2
隠岐さや香 Sayaka Oki (広島大学 Hiroshima University)
科学と非科学 ―18世紀欧州の「動物磁気」騒動からみえてくるもの Science or not Science? What Mesmer’s Animal magnetism can tell us about Demarcation Problem of Science

Discussant
中尾麻伊香 Nakao Maika (慶応義塾大学 学術振興会特別研究員(PD) Keio University)

Chair
塚原東吾 Togo Tsukahara (神戸大学 Kobe University)

4.【女の「語り」】 ‘Narratives’ of Women
Panelist 1
村上陽子 Yoko Murakami (東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻 The University of Tokyo Graduate School of Arts and Sciences Language and Information Sciences)
大田洋子と林京子 Yoko Ota and Kyoko Hayashi

Panelist 2
中岡志保 Shiho Nakaoka (京都大学COE研究員 Kyoto University)
呉から「女性化された記憶」を問い直す Reflections on ‘feminized memory’ in view of Kure

Chair
東琢磨 Takuma Higashi (批評家 Critic)

5.【アジアを越境するメディアカルチャー】Trans-Asian media culture
Panelist 1
田島悠来 Yuki TAJIMA (同志社大学 社会学研究科 Doshisha University Graduate School of Social Studies)
グローバル化の中の日本の「アイドル」の機能―新聞記事における「アイドル外交」という言説を巡って― Japanese “Idols” in globalization: The analysis of the discourses of “Idol Diplomacy” in Japanese newspapers

Panelist 2
胡綺珍Kelly Hu (台灣國立師範大學大?傳播所Associate Professor, The Graduate Institute of Mass Communication, National Taiwan Normal University)
Chinese video websites as sites of globalization

Panelist 3
クッキー・チュー Kukhee Choo (チュレーン大学 Tulane University)
Trans Asian bodies crossing in Koreeda Hirokazu’s Air Doll (2009)

Chair
岩渕功一 Koichi Iwabuchi (早稲田大学 WASEDA University)

6.【音楽と/のアクティビズム】Music of/and Activism
Panelist 1
大野光明 ONO, Mitsuaki (立命館大学 先端総合学術研究科 Graduate School of Core Ethics and Frontier Sciences, Ritsumeikan University)
「沖縄闘争」における「文化」の位置――竹中労の島唄論再考 Position of “Culture” in “Okinawa-tousou (Okinawa Struggle)”: Re-consideration on Activities by Rou Takenaka about Shimauta

Panelist 2
五野井郁夫 Ikuo Gonoi (高千穂大学/国際基督教大学 Takachiho University / International Christian University)
社会運動のサウンドトラックとは何か?:出発のリトルネロをめぐって What is Soundtrack of Social Movement? : On ritournelle of departure.

Chair
酒井隆史 Takashi Sakai (大阪府立大学 Osaka Prefecture University)

7.【カルチュラル・スタディーズ、戦後空間、「ヒロシマ」】Cultural Studies, Postwar, and Hiroshima
Panelist 1
新倉貴仁 NIIKURA Takahito (日本学術振興会 Japan Society for the Promotion of Science)
戦後日本とカルチュラル・スタディーズ Cultural Studies in Postwar Japan

Panelist 2
マニュエル・ヤン Manuel Yang
「大江健三郎『ヒロシマ・ノート』についての比較史的ノート?? 原子力、労働者階級の形成、政治的資本主義を繋げる総体的ナラティヴを求めて 」 “Comparative Historical Notes on Oe Kenzaburo’s Hiroshima Notes: In Search of a Narrative of Totality Connecting Nuclear Power, Working-Class Formation, and Political Capitalism”

Chair
小笠原博毅 Hiroki Ogasawara (神戸大学大学院国際文化学研究科 Graduate School of Intercultural Studies, Kobe University)

8.【東アジアのメディアカルチャー】Media and Culture in East Asia
Panelist 1
Youngjin Kim (成均館大學 史學科 韓國 History, Sungkyunkwan University, Seoul, Korea)
女優という名 近代職業社会におけるプロフェッショナリズムとジェンダー Becoming an actress between professionalism and amateurism in the early Korean film industry

Panelist 2
Toshio MIYAKE (Ca’Foscari University of Venice, Italy)
Desiring the Atom_Hegemony and Media Convergence in Japanese

Chair
田仲康博 Yasuhiro Tanaka (国際基督教大学 International Christian University)

9.【連続する植民地主義】Continuing Colonialism
Panelist 1
南衣映 NAM, Eui-Young (東京大学大学院学際情報学府 Graduate School of Interdisciplinary Information Studies, The University of Tokyo)
植民地主義なき植民地性?――東アジアにおける米軍基地の文化的影響から見る軍事的新帝国主義下の新植民地性 Coloniality without Colonialism? : Cultural Influence of American Military Bases in East Asia and Neo-Coloniality under the Militarist Neo-Imperialism

Panelist 2
LEE GAYEON (東亞大學校 史學科 大學院 韓国 Dong-A University, the History department, Korea)
植民地期、韓国釜山の日本語新聞であった『朝鮮時報』について On Chosun Sibo, a Japanese newspaper in colonial Busan, Korea

Chair
本橋哲也 Tetsuya Motohashi (東京経済大学 Tokyo Keizai University)

10.【クリス・マルケルのOuvroirにみられる戦争の記憶】 The memories of war in the space of “Ouvroir” of Chris Marker
Speaker
東志保 Shiho Azuma (パリ第三大学映画視聴覚研究科博士課程 Ph,D candidate, University of Paris3 Sorbonne-Nouvelle)
クリス・マルケルのOuvroirにみられる戦争の記憶 The memories of war in the space of “Ouvroir” of Chris Marker

Chair
鵜飼哲 Satoshi Ukai (一橋大学 Hitiotsubashi University)

11.【ディアスポラ・アナーキー】Diaspora and Anarchism
Panelist 1
阪本佳郎 Yoshiro Sakamoto (東京外国語大学大学院 Tokyo University of Foreign Studies)
月明かりに照らされた太陽の言語 ?アンドレイコドレスクの二重言語について― The moonlit language of the sun ? On Andrei Codrescu's biligualism ?

Panelist 2
友常勉 Tomotsune Tsutomu (東京外国語大学 Tokyo University of Foreign Studies)
「二世プログレッシヴ」:戦後北米における日系左翼の思想 Nisei Progressive : Japanese American left during the Postwar period of the United States

Panelist 3
吉田裕 Yutaka Yoshida (一橋大学大学院 Hitotsubashi University)
ジョージ・ラミングの「母国」概念の文節化と恥の情動
George Lamming’s concept of “Mother Country” and articulation of shame

Chair
浜邦彦 Kunihiko Hama (早稲田大学 WASEDA University)

Group Works


7月14日 土曜日

瀬戸内から世界へ――「ローカリティ/ジェンダー/ことば」をめぐる地方文化の現在
7月14日(土)10:30-12:00      502
「311」以降、グローバリゼーション、地方中枢都市化が進む中で、見過ごされていた中央と地方の格差が顕在化した。本パネルでは瀬戸内海文化圏出身(在住)者により、映画研究、マンガ/アニメ研究、そして自主映画制作者による立場から、「広島/松山」を舞台にした作品を素材に、「ローカリティ/ジェンダー/ことば(方言)」といった問題について検討することにより、地方を舞台にする物語文化の現況と未来を展望してみたい。

郷里、尾道を舞台にした作品で脚光を浴びた映画監督、大林宣彦(1938- )は、その後、別の地方都市を舞台に据えることで「東京ではない」地方の光景を背景に物語を現在なおも生成し続けている。「尾道三部作」となる『転校生』(1983)を、25年後に自身の手によってリメイクした『転校生――さよならあなた』(2007)では長野を舞台にし、新たに死と別れのモチーフを書き加えた。性別が入れ替わる中学生を描いた2つの物語を隔てる25年間の隔たりからは、地方文化の状況、そしてジェンダー、とりわけ少女像をめぐる時代状況の変化を見ることができる。

マンガ家、こうの史代は、原爆投下後の広島を舞台にした『夕凪の街桜の国』(2003)を発表後、『この世界の片隅に』(2007-09)によって、戦時下の人々の日常を少女から大人に変遷しつつある主人公の目を通して描いた。『はだしのゲン』(1973-85)を含む原爆物語の系譜の中で、少女の視点により原爆/戦争の問題を扱った点に新機軸がある。また、「方言」による「ことば」の魅力からも、戦争物語としてだけでは捉えきれない地方を舞台にした物語の可能性を見ることができる。

映像作家・杉田このみは生まれ故郷、松山を舞台に、地方の光景、人々の姿を描き続けている。瀬戸内を舞台にしたアニメ作品『たまゆら』(2010-11)、『ももへの手紙』(2012)の動向をも参照しつつ、現在、地方を舞台にした作品を通して何をどのように表現することが可能であるかを考えてみたい。
Organiser 中垣恒太郎 Kotaro Nakagaki 大東文化大学 Daito Bunka University(広島県呉市生)
Panelist 1 中垣恒太郎 Kotaro Nakagaki 大東文化大学 Daito Bunka University(広島県呉市生)
Panelist 2 杉田このみ Konomi Sugita 一橋大学(助手)/映像作家 Hitotsubashi University /Film Director) (愛媛県松山市生)
Panelist 3 大城房美 Fusami Ogi 筑紫女学園大学/「女性MANGA研究プロジェクト」代表 Chikushi Jogakuen University/Women Manga Project(広島県竹原市生)
Panelist 4  ロナルド・スチュワート Ronald Stewart 県立広島大学 Prefectural University of Hiroshima(広島県広島市在住)
Language 日本語 Japanese


国家と軍隊:明治期日本における近代化、国民化の諸相
7月14日(土)13:30-15:00      401
明治政府は近代国家を目指し、富国強兵のスローガンの下、様々な制度構築を行った。1872年に制定された徴兵令は、その施行当初こそ国民は嫌悪感を示し、徴兵忌避や逃亡が発生していたが、徐々に受け入れられていく。一方、沖縄では琉球処分以降旧慣温存政策がとられていたが、日清戦争前後からその転換が起こり、同時に徴兵制も施行される。以上のような背景の下、本パネルでは、明治時代の近代的資本主義への転換、軍隊の導入と社会状況の分析を、沖縄、日本、海外移民を対象に行う。その分析を通して、現在まで続く基地を抱える沖縄や軍都としての広島の状況を生み出すことになった、国家と軍隊について再考する。

まず日本の近代軍隊化と資本主義化が密接に結びつきながら進んだ過程と、沖縄の関係を探る。その結節点と考えられる出来事が、台湾出兵から琉球処分へ至る過程と旧慣温存政策の転換である。沖縄において、これらの転換には「軍隊」の存在が影響を与えた。琉球処分後の旧慣温存政策とその転換を、日本の資本主義の変遷と同時に考える事で、軍隊と密接に関わった沖縄の資本主義化を明らかにする。

さらに、海外移民にとっての徴兵制を分析する。明治政府は日本領土外に居住する日本人に対して、日本国内ほどの強制力はないものの、徴兵猶予手続きを義務化し、移民を徴兵制に組み込んでいった。沖縄における事例だけみても、徴兵制開始と海外移民開始は、臣民として明治政府が求めた兵役という義務と海外へ渡航する権利が相反する事項であり、明治政府の近代化に伴う沖縄に向けた「暴力」との捉え直しが可能ではないか。
 沖縄社会、日本社会の近代化・資本制と軍隊との関係、沖縄、日本からの移民が移民先で直面した徴兵を通して、軍隊とそこで起こった臣民化への過程、国家権力の問い直しだけでなく、国民や社会に向けられた明治期日本帝国の暴力的一側面を描き出すことにもつながるだろう。
Organiser 伊佐由貴 Yuki Isa 一橋大学大学院社会学研究科 Graduate School of Social Sciences, Hitotsubashi University
Panelist 1 持木良太 Ryota Mochiki 大阪府立大学大学院人間社会学研究科 Graduate School of Humanities and Social Sciences, Osaka Prefecture University
Panelist 2 伊佐由貴 Yuki Isa 一橋大学大学院社会学研究科 Graduate School of Social Sciences, Hitotsubashi University
Commentor 村上陽子 Yoko Murakami 東京大学大学院総合文化研究科 Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo
 Language 日本語  Japanese


原発避難者による広島
7月14日(土)13:30-15:00      501
福島原発第一原発爆発後、子どものことや自身の身の安全を考えて関東から関西方面へ避難してきた人々が新しい土地で様々に困難を抱えつつも生活している。しかしその事が、多くの人々が逃げてきて暮らしているはずの広島ではなかなか感じられないのは何故なのか。そこで、原発引っ越し者の方々の言葉に耳を澄まし、応答し応答されるような会を持ちたいと考えた。原発避難によって引き起こされている軋轢がある。その一方で原発避難者とともに生活することになった広島が新しい社会のあり方を示す可能性も見えてくる。放射能を含んだ瓦礫を受け入れるのではなく、放射能から逃れる為に広島の地に来る人々を私たちは受け入れて生活するべきだ。このパネルは福島第一原発から放出された放射能が私たちの生活(金、仕事、食べ物など)に与え続けている影響を考えるとともに、原発が提示する社会のあり方とは別の社会を考える会としたい。
Organiser 行友太郎 Taro Yukitomo シャリバリ地下大学
Panelist 1 神原将 Shou Kamihara ライター、「原発引っ越し」著者 呉在住
Panelist 2 羽鳥智裕 Tomohiro Hatori 前衛華道家、豊平在住
Panelist 3 大杉聖児 Seiji Osugi quizkid ベーシスト、福岡在住
Panelist 4 小柳津まさこ Masako Oyaizu SHE SAYS distro、福岡在住
Panelist 5  崔真碩 Choi Jinseok 広島大学教員、東広島市で学校給食の放射能汚染問題に取り組んでいる
Panelist 6 山戸明子 Akiko Yamato 祝島出身
Language 日本語 Japanese


原子力事故後を考える ― 計測運動、フェミニズム、テクノロジー
7月14日(土)15:30-17:00      501
昨年の福島第一原発の事故以来、無数の放射性物質の計測、放射能の防御の運動等が各地に広まっている。事故後に生じたこうした運動は、事故から一年たった現在、現在その数は100以上に及ぶとも言われている。とりわけ数ヶ月間の事故後の政府の対応において、原子力産業側の主張する「安全神話」が充分な情報を提供しないことは、人々のあいだでより明白になった。このような草の根の運動には市民、とりわけ多くの女性や母親が関わっている。こうした点からすると、生活領域と再生産労働の領域におけるこのようなミクロな運動が、国家のすすめる原子力政策と安全神話を鋭く指摘し、問題化している事態ともいえる。原発事故後に生じたこうした運動は、内部被曝から自分たちの身を守るという側面をもつと同時に、科学、テクノロジーの民主化/開かれ、という側面と、また科学のもつジェンダーバイアスを明らかにし、問いなおすという二点を遂行的に備えている。さらにこのような草の根の諸運動は、フェミニズムの議論の中における母性motherhood/母親業motheringを再考するという意味をも持つ。このパネルセッションでは、実際の地域での母親の運動や、計測活動、計測所にかかわるなかでの経験と事故後の日常生活から見えてきたこと等を参照軸としながら、3.11以降のリスク社会を生きる術=<すべ>と、その思想的課題について考察し、討議する予定である。
Organiser 松本麻里 Mari Matsumoto No nukes more feminism network
Panelist 1 水島希 Nozomi Mizushima 東京大学 情報学環 University of Tokyo
Panelist 2 森元斎 Gensai Mori 日本学術振興会 Japan society for the promotion of science
Panelist 3 矢部史郎 Shiro Yabu 未来につなげる東海ネット 市民測定所 Toukai Network for the future -Citizen’s monitoring/measurement laboratory
Language 日本語  Japanese 


パイレーツ・ダイアローグ4:
テクノ海賊、あるいは海賊のテクノロジーについて
7月14日(土)15:30-17:00      502
はたして海賊はどこまで「普遍」たりうるか?「普遍」たる必然性はあるのか? あるとしたらどのように?
歴史上、「あらゆる国民の敵」であり「法の外のもの」であった海賊はどの海域にもいて、今も活動を続けている。しかし「海賊」という言葉でイメージされるものが、映画や物語の影響もあり、また実質的な研究蓄積の厚薄もあり、西欧近代の黎明期における「アウトロー」を原型としている点は否定できない。そこでこのパネルは、18世紀初頭のカリブ海域、18~19世紀のマラッカ海域及び東シナ海、16世紀の瀬戸内海で、それぞれの「海賊」をめぐる「ダイアローグ」として、「海の上の盗賊」という以外何が共有され、何が異質なのかについて、徹底的に語り合うことを目的とする。またこのパネルは、オーディエンスともダイアローグを通じて、同じ「海賊」という言葉では理解できないそれぞれの複雑な状況や情勢はいかなるものか?また同時に、とはいえ「海」がつなぐ共有点はどのようなもので、時代と海域、歴史状況と歴史認識の違いでどのような像が浮かび上がってくるのかを考える場所を提供する試みである。
またそのような違いを踏まえたうえでさえ、「海賊」がこれほどまでに注目され、語られ続け、私たちを様々なスタイルで魅了するのはどのような力によるものか。「海賊」をめぐる「普遍」と「状況」について、意見をぶつけ合いましょう。
Organiser 小笠原博毅 Hiroki Ogasawara 神戸大学大学院国際文化学研究科 Graduate School of Intercultural Studies, Kobe University
Panelist 1 塚原東吾 Togo Tsukahara 神戸大学大学院国際文化学研究科 Graduate School of Intercultural Studies, Kobe University
Panelist 2 太田淳 Atsushi Ota 広島大学大学院文学研究科 Graduate School of Letters, Hiroshima University
Panelist 3 栢木清吾 Seigo Kayanoki 神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程 Graduate School of Humanity and Cultural Studies, Kobe University
Language 日本語/英語 Japanese/ English


7月15日 日曜日

ポスト3.11における「当事者性」をめぐって
7月15日(日)10:30-12:00       501
「当事者とは誰か?」3.11以降、誰の頭にも一度は浮かんだ問いではないだろうか。「私は当事者なのか?」「当事者でもない私が私の苦しみを語るべきではないのではないか。 」「では当事者ではない私の苦しみはいったい何なのか。」「この苦しみとどう折り合いをつければいいのか。」「いっそ当事者であったら。私は当事者にはなれないのか。」これらの問いに対する明確な答えを持っている人は、おそらくまだいないのではないだろうか。(いたらぜひセッションに参加してほしい。)
このセッションは、被災地(東北)、東京/名古屋、韓国/京都というそれぞれの立ち位置に立つパネリストの報告をもとに、「当事者」あるいは「当事者性」について、参加者とともに語り合い、考える場としたい。おそらく簡単に答えは見つからない。様々な立場や考え方があるだろう。そして、この議論は、この広島でのセッションをスタートに、今後も継続して議論されていくことになるだろう。研究者として、アーティストとして、アクティビストとして、様々な立場で自らの立ち位置/ポジショナリティや「当事者性」に対する疑問や悩みを感じている人は、ぜひセッションに参加してほしい。
Organiser 坂田邦子 Kuniko Sakata Watanabe 東北大学大学院情報科学研究科 Graduate School of Information Sciences, Tohoku University
Panelist 1 甲斐賢治 Kenji Kai せんだいメディアテーク Sendai Mediatheque
Panelist 2 伊藤昌亮 Masaaki Ito 愛知淑徳大学 Aichi Shukutoku University
Panelist 3 崔銀姫 Eunhee Choi 佛教大学 Bukkyo University
Language 日本語 Japanese


「差異」と「多様性」をことほぐクィア/フェミニズムを超えて
 ―寛容/脱原発女子デモ/ばなな
7月15日(日)10:30-12:00       502
現在、わたしたちは、ジェンダー・セクシュアリティあるいはクィアの政治にどのように取り組めるのだろうか。
従来「女性化」されてきたセクシュアル・マイノリティたちはそれぞれにアイデンティティを主張し、政治を展開している。それにつれて近年「性の多様性」を承認する風潮は強まっている。しかし、「差異」を階層的に維持したまま「多様性」が称揚される場合も少なくない。それでは権力関係が再生産され、結果的に多様性が損なわれることになるのではないだろうか。以下の個別報告を通じて、現在における「性の政治」を再検討したい。
今日、寛容であることが、性的マイノリティへの偏見や憎悪の解毒剤としてしばしば差し出される。こうした風潮を一因として、性的マイノリティに対して寛容な態度をとるひとのほうがむしろ現在の日本において多数派になっているかもしれない。風間報告では、2011年に放映されたドキュメンタリー番組の分析を通して、寛容性と性的多様性の関係について検討したい。
菊地報告では、昨年12月に大阪で行われた「原発いらん!女子デモ!?だれデモ!」を題材に、「女子」「女性」「女」というアイデンティティをめぐる政治を考察し、3.11後の日本社会を問い直したい。それによって既存のフェミニズムを含めたジェンダー/セクシュアリティの矛盾含みの配置を言語化し、名付けられていない「underground」なフェミニズムの可能性を可視化させたい。
黒岩報告では、吉本ばなな(よしもとばなな)の作品でしばしば肯定的に表象される多様な性に目を向ける。「性の多様性」とは重要なものではあるが、しかし、時に抑圧的に機能する。『キッチン』(1987)などの初期作品と比較しつつ、近年の『アナザー・ワールド』(2010)を読むことで、「性の多様性」の問題性を考えたい。
Organiser 黒岩裕市 Yuichi Kuroiwa 立教大学 Rikkyo University
Panelist 1 風間孝 Takashi Kazama 中京大学 Chukyo University
Panelist 2 菊地夏野 Natsuno Kikuchi 名古屋市立大学 Nagoya City University
Panelist 3 黒岩裕市 Yuichi Kuroiwa 立教大学 Rikkyo University
Language 日本語  Japanese


空族と魯迅
7月15日(日)13:30-15:00      301
シャリバリ地下大学中国文芸研究会は、映画「国道20号線」、「サウダーヂ」といった空族作品のもつ思想が、中国近代文学を代表する魯迅の作品とチョッケツしている事に気がついた。
魯迅思想と空族思想のチョッケツから近代の成れの果ての現状を分析し、強力な思想を鍛錬したいと考えている。
Organiser 行友太郎 Taro Yukitomo シャリバリ地下大学中国文芸研究会
発言 中国文芸研究会 シャリバリ地下大学
応答 富田克也 Katsuya Tomita 空族
応答  相澤虎之助 Toranosuke Aizawa 空族
議論 会場全員
Language 日本語  Japanese


「復帰」と「復帰」の向こう側を凝視する ―相対化する1960-70年代の思想、文学、アクティヴィズム
7月15日(日)13:30-15:00       501
沖縄を結節点とした多くの諸問題−基地・経済・復帰・主体—などへ、介入していくことはいかにして可能か。本パネルではそのような問題意識をふまえつつ、「復帰」に向かう60年代前半から70年代前半の沖縄において生起した思想、文学、アクティヴィズムについて論じることで、それらが当時のどのような状況において紡ぎ出され、実践されてきたのかを明らかにする。さらにそれぞれの実践においてあった、未発の可能性を検証し、現代沖縄における諸問題への介入のための装置を創造することを試みるものである。

上原こずえは、1973-1985年の金武湾闘争に注目し、その抵抗の対象となった沖縄島東海岸金武湾の埋め立てと石油備蓄基地の建設を伴う「金武湾開発」が、復帰直前の沖縄、特に金武湾周辺市村でどのように顕現し、そのなかで金武湾闘争がどう組織されていったのかを明らかにする。

森啓輔は、1970-71年の国頭村伊部岳実弾射撃演習場建設阻止闘争を取り上げるなかで、阻止闘争とその当時の政治的緊張や諸運動--全軍労スト、佐藤訪沖阻止闘争、コザ蜂起、毒ガス移送問題等--との同時代性に注目し、この闘争が「復帰」コースの上でどのような位置にあったのかを明らかにする。

松田潤は『琉大文学』の第2世代に属する清田政信、中里友豪、岡本定勝に注目する。彼らは、60年以降、個の内面を掘り下げることにより、文学の独自性や自立性と政治への介入を両立させるような、文学的実存主義やシュールレアリズムの影響の強い作品を生み出していく。清田の既存組織や前の世代の運動の挫折への批判は手厳しく、新川や川満ら先行する50年代の詩人たちに対しても及ぶ。松田は、失望し、失語し、異質で反日常的なシュールレアルな時間を生きる詩人の言葉に読み込める抵抗の可能性について考察する。
Organiser 森啓輔 Keisuke Mori 一橋大学大学院社会学研究科博士課程 Graduate School of Social Sciences, Hitotsubashi University
Panelist 1 上原こずえ Kozue Uehara 東京大学大学院総合文化研究科博士課程 Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo
Panelist 2 松田潤 Jun Matsuda 一橋大学大学院言語社会研究科修士課程 Graduate School of Language and Society, Hitotsubashi University
Language 日本語 Japanese


「ミンゾク」「ミンズー」「エスニシティ」
―「民族」をめぐる翻訳不可能性とその歴史的文脈の一考察
7月15日(日)13:30-15:00       502
「西側」の知性によって「ナショナリズム」批判の文脈にあった「民族」。今日、アジアや中国との繋がりの中で、「民族」および、「民族」が躍起した戦後日本社会の潜勢力が、捉え返されている。すなわち、「西側」「普遍」の国民国家(ネーション=ステーツ)における「ナショナリズム」の中でのみ捉えられていた「民族」が、中国大陸/アジアにおける「ミンズー」との関わりの中で開かれ、再評価されていったと言えるだろう。

そのような状況の中、本パネルにおいて検討されるのは、いまひとつの「民族」“ethnicity”の訳語としてある、「民族」である。「ミンゾク」と「ミンズー」、日本と中国において同じ文字「民族」が用いられてはいるものの、それが纏う意味や、それが伴う歴史的文脈は、大いに異なっている。その違いにこそ、「中国」における「少数民族問題」の語り辛さや難しさもあるだろう。本パネルでは、貴州や雲南などの中国における「少数民族」や、沖縄や被差別部落などの諸問題に触れながら、「ミンゾク」「ミンズー」「エスニシティ」をめぐる翻訳不可能性とその歴史的文脈を討議したい。
Organiser 岩崎稔 Minoru Iwasaki 東京外国語大学 Tokyo University of Foreign Studies
Panelist 1 羽根次郎 Jiro Hane 中国社会科学院 China Social Science Research Institute/ Ph.D. Hitotsubashi University
Panelist 2 渡邊英理Eri Watanabe 宮崎公立大学 Miyazaki Municipal University/ Ph.D. Candidate the University of Tokyo
Panelist 3 朱奇莹 ZHU qi ying 天津外国語大学大学院修士課程 Tianjing Foreign Language University
Panelist 4 陳希 CHENG qi 天津外国語大学大学院修士課程 Tianjing Foreign Language University
Language 日本語 Japanese


〈無-国家〉としての奄美――あたらめて復帰を問う
7月15日(日)15:30-17:00       401
今年は沖縄復帰40年、来年は奄美復帰60年を迎える。そこで「復帰とは何だったのか」「復帰した国家とは何だったのか」を二年連続で問いかけていく。奄美は歴史上、自前の国家や、地域を統覚した政治勢力を持たなかった。つまりさまざまな国家・地域勢力(琉球・薩摩・日本・アメリカ)によって支配されてきた地域なのである。この被支配の歴史を反転すると、〈無・国家〉を通底してきたという言説を組み立てることが出来る。(この意味で米軍統治下であったにせよ「北部南西諸島政府」「奄美群島政府」は“State”の名を冠した特異な時期であるとみなすことが可能。この時期には奄美を代表する政府の首長を直接選挙で選んだ奄美の歴史でも稀有な時代であった)。こうした奄美の〈無・国家〉性をあらためて、考えてみたい。この〈無・国家〉性は、〈無・原発〉性(奄美群島の電力は100%原発なしの電力で賄われている)とも連関していく。奄美という特性が日本国への復帰や現在の国家と照らしあわせて、どのように対峙しているのかをあらためて考えていきたい。奄美に特化したシンポジウム企画は今回で7回目となる。
Organiser 大橋愛由等 Ayuhito Oohashi 図書出版まろうど社
Panelist 1 前利潔 Kiyoshi Maetoshi 知名町中央公民館
Panelist 2 中西雄二 Yuuji Nakanishi 大阪市立大学都市研究プラザ・G-COE特別研究員
Panelist 3 黒柳保則 Yasunori Kuroyanagi 沖縄国際大学
Language 日本語 Japanese


福島原発事故と有機農業
7月15日(日)15:30-17:00       402
福島原発事故は、数多くの被ばく者を生んでしまいました。被ばくによる健康への影響は、今後何十年も続くことが予想されます。しかし被ばくしたのは、人間だけではありません。動物も、植物も、川も、海も、森も、みんな被ばくしてしまいました。

このグループワークでは、まず国際有機農業映画祭「それでも種をまく」(2011年、24分)を上映します。この映画は、福島の有機農業者たちが放射能汚染に直面し、それぞれの種の蒔き方を模索する姿を追ったドキュメンタリーです。自然のリズムとともに暮らし、原発に依存するのとはかけ離れた生活をしてきた有機農家が、原発事故の被害をまともに受けてしまったというのは、本当に悲しいことです。彼らは、自分が大切に育ててきた土と農作物の汚染をどう受け止め、いかなる選択をしたのでしょうか。

映画を見た後には、広島県三原市で30年以上も有機農業をやってきた坂本重夫さんをゲストに招き、コメントしていただきます。それから、会場に来ていただいた皆さんと一緒にざっくばらんにお話をしていきます。原発事故が奪ったものの大きさを確認すると同時に、自然の循環とともに生きるとは、地域に根ざして暮らすとはどういうことかにまで触れていくつもりです。このグループワークが、原発を支えていた価値観と手を切って、自分の生き方、地域や社会の変え方を探る人びとの出会いの場になればと考えています。

映画「それでも種をまく」(2011年)         東電前で抗議する有機農家
Organiser 安藤丈将 Takemasa Ando 東京外国語大学非常勤講師 Visiting lecturer at Tokyo University of Foreign Studies
Panelist 坂本重夫 広島県三原市の有機農家。米と野菜作り、平飼い養鶏
Shigeo Sakamoto (organic farmer in Miharashi of Hiroshima)

トークゲスト:坂本重夫さん
Speaker: Shigeo Sakamoto
日本有機農業研究会有機農業アドバイザー
Language 映画の言語は、日本語です。ただし英語で発言したい方には、サポートします。 The film is showed in Japanese, but you can also use English in the discussion.


1.【福島原発事故と有機農業】 The Fukushima nuclear disaster and organic farming
Organiser
安藤丈将 Ando Takemasa (東京外国語大学非常勤講師 Visiting lecturer at Tokyo University of Foreign Studies)

Panelist 1
坂本重夫 Sakamoto Shigeo(広島県三原市の有機農家。米と野菜作り、平飼い養鶏 Organic farmer in Miharashi of Hiroshima)

国際有機農業映画祭「それでも種をまく」(2011年、24分)を上映

2.【「復帰」と「復帰」の向こう側を凝視する ―相対化する1960-70年代の思想、文学、アクティヴィズム】 Staring at the “Reversion” and its beyond: thoughts, literature and activisms facing opposite to in the 1960-70s.
Organiser
森啓輔 Keisuke Mori (一橋大学大学院社会学研究科博士課程 Graduate School of Social Sciences at Hitotsubashi University)

Panelist 1
上原こずえ Kozue Uehara (東京大学大学院総合文化研究科博士課程 Graduate School of Arts and Sciences, University of Tokyo)

Panelist 2
松田潤 Jun Matsuda (一橋大学大学院言語社会研究科修士課程)

3.「ミンゾク」「ミンズー」「エスニシティ」――「民族」をめぐる翻訳不可能性とその歴史的文脈の一考察 Thinking about “ethnicity” between Chinas and Japans raduate School of Language and Society at Hitotsubashi University
Organiser
岩崎 稔 IWASAKI, Minoru (東京外国語大学 Tokyo Foreign Language University)

Panelist 1
羽根次郎 HANE, Jiro (中国社会科学院 China social science research Institute/ Ph.D. Hitotsubashi University)

Panelist 2
渡邊 英理 WATANABE, Eri (宮崎公立大学 Miyazaki Municipal University/ Ph.D. Candidate the University of Tokyo)

Panelist 3
朱奇? ZHU qi ying (天津外国語大学 大学院 修士課程 Tianjing foreign language University)
Panelist 4
陳希 CHENG qi (天津外国語大学 大学院 修士課程 Tianjing foreign language University)

4 国家と軍隊:明治期日本における近代化、国民化の諸相 Nation States and Army: various aspects of modernization and nationalization during Meiji Era.
Organiser
伊佐由貴 Yuki Isa (一橋大学大学院社会学研究科 Graduate School of Social Sciences, Hitotsubashi University)

Panelist 1
持木良太 Ryota Mochiki (大阪府立大学大学院人間社会学研究科 Graduate School of Humanities and Social Sciences, Osaka Prefecture University)

Panelist 2
伊佐由貴 Yuki Isa (一橋大学大学院社会学研究科 Graduate School of Social Sciences, Hitotsubashi University)

Commentor
村上陽子 Yoko Murakami (東京大学大学院総合文化研究科 Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)

5. ポスト3.11における「当事者性」をめぐって “Positionality” after 3.11
Organiser
坂田邦子 Kuniko Sakata Watanabe (東北大学大学院情報科学研究科 Graduate School of Information Sciences, Tohoku University)

Panelist 1
甲斐賢治 Kenji Kai (せんだいメディアテーク Sendai Mediatheque)

Panelist 2
伊藤昌亮 Masaaki Ito (愛知淑徳大学 Aichi Shukutoku University)

Panelist 3
崔銀姫 Eunhee Choi (佛教大学 Bukkyo University)

6. 空族と魯迅
Organiser
行友太郎 Yukitomo Taro (シャリバリ地下大学中国文芸研究会)

Panelist 1
中国文芸研究会の面々 (シャリバリ地下大学中国文芸研究会)

Panelist 2
空族

7. パイレーツ・ダイアローグ4:テクノ海賊、あるいは海賊のテクノロジーについて Pirate Dialogue 4: Techno-Piracy, or on the Technology of Pirates
Organiser
小笠原博毅 Hiroki Ogasawara (神戸大学大学院国際文化学研究科 Graduate School of Intercultural Studies, Kobe University)

Panelist1
塚原東吾 Togo Tsukahara (神戸大学大学院国際文化学研究科 Graduate School of Intercultural Studies, Kobe University)

Panelist 2
太田淳 Atsushi Ota (広島大学大学院文学研究科 Graduate School of Letters, Hiroshima University)

Panelist 3
栢木清吾 Seigo Kayanoki (神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程 Graduate School of Humanity and Cultural Studies)

8. 原発避難者による広島
Organiser
行友太郎 Yukitomo Taro (シャリバリ地下大学)

Panelist 1
神原将(ライター、「原発引っ越し」著者 呉在住)

Panelist 2
羽鳥智裕(前衛華道家、豊平在住)

Panelist 3
大杉聖児(quizkid ベーシスト、福岡在住)

Panelist 4
小柳津まさこ(SHE SAYS distro、福岡在住)

Panelist 5
崔真碩(広島大学教員、東広島市で学校給食の放射能汚染問題に取り組んでいる)

Panelist 6
山戸明子(祝島出身)

9. 原子力事故後を考える-計測運動、フェミニズム、テクノロジー Thinking about post Nuclear Disaster-Measurement Movement,Feminism Revise of Technology
Organiser
松本麻里 Mari Matsumoto (No nukes more feminism network)

Panelist 1
水島希 Nozomi Mizushima (東京大学 University of Tokyo)

Panelist 2
森元斎 Gensai Mori (Japan society for the promotion of science)

Panelist 3
矢部史郎 Shiro Yabu (未来につなげる東海ネット 市民測定所 Toukai Network for the future -Citizen’s monitoring/measurement laboratory)

10.「差異」と「多様性」をことほぐクィア/フェミニズムを超えて ―寛容/脱原発女子デモ/ばなな Beyond the Celebration of “Difference” and “Diversity” in Queer/Feminism
Organiser
黒岩裕市 Yuichi Kuroiwa (立教大学 Rikkyo University)

Panelist 1
風間孝 Takashi Kazama (中京大学 Chukyo University)

Panelist 2
菊地夏野 Natsuno Kikuchi (名古屋市立大学 Nagoya City University)

Panelist 3
黒岩裕市 Yuichi Kuroiwa (立教大学 Rikkyo University)

11. 瀬戸内から世界へ――「ローカリティ/ジェンダー/ことば」をめぐる地方文化の現在
From Setouchi to the World: New Horizon for Regional Narratives Exploring the Themes of Locality / Gender / Voices

Organiser
中垣恒太郎(広島県呉市生)Nakagaki, Kotaro (大東文化大学 Daito Bunka University)

Panelist 1
中垣恒太郎(広島県呉市生)NAKAGAKI, Kotaro (大東文化大学 Daito Bunka University)

Panelist 2
杉田このみ(愛媛県松山市生) SUGITA, Konomi (一橋大学(助手)/映像作家 Hitotsubashi University /Film Director)

Panelist 3
大城房美(広島県竹原市生) OGI, Fusami 筑紫女学園大学/「女性MANGA研究プロジェクト」代表
Chikushi Jogakuen University/Women Manga Project

12. 〈無-国家〉としての奄美 あたらめて復帰を問う
Organiser
大橋愛由等 Oohashi Ayuhito (図書出版まろうど社)

Panelist 1
前利潔 Maetoshi Kiyoshi (知名町中央公民館)

Panelist 2
中西雄二 Nakanishi Yuugi (大阪市立大学都市研究プラザ・G-COE特別研究員)

Panelist 3
黒柳保則 Kuroyanagi Yasunori (沖縄国際大学)



Cultural Typhoon 2012

主催
カルチュラル・タイフーン2012
実行委員会